名古屋提灯 有限会社伏谷商店
名古屋は古来、提灯製造の盛んな土地でした。提灯の材料となる和紙や竹ひご、木材が豊富に手に入る他、火袋(提灯部分)を貼る工程に必要な人手も人口の多い名古屋だからこそ補えた為との事です。大正二年に出版された「愛知縣写真帖」では、以下のように名古屋提灯の隆盛を伝えているそうです。
「名古屋における提灯の製造は頗る古しといへとも岐阜の声価に厭せられ久しく世に顕れざりしか近来頻りに意匠を凝し製作に改善を加へたる結果販路次第に拡張し海外輸出の紙製品中に於いてその名頗る挙れり全縣下製造戸数は最近調査によれば二百五十余戸に上り職工千二百九十五人を使用し産額九百五十萬一千七百十三箇。価格三十一萬三千五百六十二円にして主なる営業者は中村源蔵、鈴木寅松等なり。」
名古屋提灯は愛知県の名産品として国内だけでなく、広く海外にまで輸出されていました。
作業工程は、提灯の型にヒゴを巻き、糊を打ち和紙をのせる。そして、刷毛で丁寧にいせ込み、糊を乾燥させた後、型を抜きます。最後に上下の輪っぱを取り付け、ひごに沿って折りたたむと完成です。この一連の作業の中に、どれほどの職人の技が盛り込まれているか、想像できる人は少ないことでしょう。
伏谷商店社長の伏谷幸七の座右の銘は「一生一職」。伝統技術にこだわり、50年以上もの間、一つひとつ手作業で提灯を作っています。その確かな技術に裏打ちされた丁寧な仕事から生み出される提灯は、美しさだけでなく丈夫さも兼ね備えております。
写真は、お盆提灯「蘭蝶」の製作風景です。写真では分かりにくいのですが、高速で回転する型にヒゴを巻いていく行程は職人技で、見る見る間に複雑な形の型にヒゴが巻かれていきます。この一風変わった形状の提灯が名古屋提灯の伝統である「変形スダレ提灯」と呼ばれるもので、こういった複雑な型に平面の紙を貼って三次元の形状を作り出すのには、高度な技が必要なのです。現在では作る職人の数も少なくなってきました。
もう一枚の写真は、「蘭蝶」の火袋(提灯部分)をたたんでいる様子です。手にしているのは、「黄楊(ツゲ)」の櫛です。将棋の駒などにも使われる黄楊は、材質が緻密で和紙への当たりも柔らかく、提灯をたたみこむのに適しているそうです。
店名:有限会社伏谷提灯
所在地:〒467-0864 愛知県名古屋市瑞穂区豆田町3-5
TEL:052-881-9237 FAX:052-881-9233
URL:http://www.fushitani.co.jp/
ものづくり愛知・名古屋の職人展
URL:http://h-t-n.jp/specials/shokuninten/articles.cgi?id=16
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名古屋伝統産業
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